今年の2月より依頼していましたすり^ピーススーツが完成しましたのでレビューいたします。
2月に注文をし完成まで2か月半かかり4月の中頃に完成しました。
仕立服は時間がかかりますが、完成までの缶ににデザインや着心地、変なシワがないかを見る仮縫いと、そこからさらに微調整をする中縫いを経て完成に至ります。
やはりそれだけ丁寧に作られたスーツですので初めて着た瞬間から着心地は抜群に良いです。
しかし、仕立てて頂いた石田洋服店の店長さんが言うには
「仕立て上がりが一番着心地が悪い。着込んでいくことで生地や副資材が人体に馴染むので着心地はまだまだ良くなる」とのこと。
事実これまで仕立てて頂いたスーツやジャケットに比べると着心地はちょっと硬い印象です。
これから着込むことで着心地は改善され自分のモノに成長していくのは、コーディネイトをどうするか以上に楽しみです。
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もくじ
仕立てたのは石田洋服店
仕立ては毎度おなじみ石田洋服店にお願いしました。
石田洋服店さんにはこれまで3着仕立てているので生地選びや仮縫い、中縫い、完成品の引き取りだけでなく新しく目玉の生地が入荷したら見に行くなどして何度も足を運んでいるので仕立てや生地について相談がしやすくなっています。
なので着心地について改善してほしいなど相談しやすくなりました。
やはり初めて仕立てた時はお互いに「はじめまして」の状態で、こちらの理想と店側の理想がズレています。
ですから初めて仕立てたスーツやジャケットが着心地は良くても自らの好みにピッタリ合うということは難しいです。
私も仕立て屋の営業職をしている時に、初めて来店されるお客様の好みを少しでも多くとれるよう努力しましたが、1着目から気に入ってくれるお客様は多くはありませんでした。
2着目以降に着心地や好みのサイズ感などを微調整していく感じです。
一着目から自分の好みにピタッと合わない多くのお客様は2回目以降仕立てるということはありません。
ですがこれは非常にもったいないと思います。
1着目をベースにして着心地やシルエットについて店に相談しながら少しずつ改善して理想に近づけていくのが、仕立の楽しみでもあります。
そうして出来上がっていくスーツやジャケットのシルエットが一人一人が持つ個性やスタイルではないかな?と考えます。
私も1着目は細身で着丈は71cm、少しタイトに仕立ててもらいましたが、完成品はカッコいいのですが主観では完璧ではありませんでした。
そこで2着目以降を仕立てるときに「着丈を少し出してほしい」「アームホールを小さくしてほしい」「ゴージを少し下げてほしい」などなど相談をした結果、より私の好みに近づいていると感じています。
もちろん1着目もとても大切に着用しています。
出来上がったスーツ
生地だけで見た時は細かいガンクラブチェックで遠くから見ると深みのあるベージュに仕上がり細かいチェック柄で嗜好性の強い仕上がりを想像していました。
しかし仕上がったものを着てみると、ビジネスでも使えるグレージュでとても上品に仕上がっています。
もちろんスリーピースで着ても良いですが、夏はツーピースで着て清涼感を出してみたり、ジャケットやパンツ単体で着てみたりと着こなしには、ビジネスからカジュアルまで可能性を感じます。
おわりに
今回仕立てたスーツは三者混(オフホワイト、ブラウン、ダークブラウン)の生地で近くから見ると細かいチェック柄に見えます。
しかし遠くから見ると無地に見えてグレイにベージュを混ぜたグレージュに見えるおもしろい生地です。
仮にグレージュの単色であったなら遠くから見ると面積効果でより鮮やかに見えるのですが、この生地は細かく3色の糸が絡んだことにより面積効果が少なく、むしろ深みのある高級感が出ています。
また麻とシルクも混紡されているのことから触った時には麻のシャリ感があるのですがシルクのおかげでシワになりにくいという特徴もあります。
グレージュという薄い色合いと、麻の生地感なのか平織のおかげなのか春夏らしい良い生地です。
春夏は暑いのでスーツを着た時に相手にも暑苦しそうなイメージを与えてしまいますが、この生地であれば見た目にも清涼感があるので暑苦しいとみられることは少ないように思います。
店長に聞いた裏話
かねてより私は疑問に感じていたことがあります。
それは
スーツにおいて「イタリアらしさ」「イギリスらしさ」もっと細かくいうと「ナポリ仕立て」「イタリア北部らしさ」といったスーツにおける地域性というか、「やっぱナポリといえばこれでしょう!!」といったものに
「そんなものあるか?」と感じていました。
というのも同じナポリでもKitonとAttoliniではシルエットがまるで違います。
シルエットにおいても肩パットが入っていないアンコン仕立てやマニカカミーチャ(雨振袖)こそナポリだという記事もありますが、それらをしないナポリの仕立て屋も当然あるわけです...
また肩パッドを入れて構築的なシルエットの仕立て屋やウェストシェイプや胸のなラインをしっかりと作って上半身をボリューミーに見せることで男らしさを強調したシルエット作りをする仕立て屋もナポリにはあると聞いたことがあります。(あくまで聞いた話ですが...)
また同じイタリアブランドであるBRIONIやZegna、Kitonなどの既製品を見ても、シルエットや考え方が全く違うようです。
BRIONIは厚みのある肩パッドを使用し肩幅をとり男らしいシルエットですが、主張を控えめでウェストシェイプも少なく、どこまでも普通なスーツです。
Zegnaはクラシックというよりは、現在の国際社会において着られるスーツをうまく表現しているように思います。肩パッドは入っていますが肩幅は狭く着丈も短い。全体的に細身でシャープなスーツが多いです。
Kitonは肩パッドはなく肩幅も狭く軽快で着用感はセーターを羽織っているような感覚になるほど着心地は良く見た目には、とてもリラックスをした遊びを感じさせますが、ウェストの設定位置は高く、腕も細いなどの工夫により着ている人をスタイリッシュに見せます。
どれが良い訳ではなく、どれも良いのですが、そこに「イタリアらしさ」のようなものを感じるとすれば生地くらいです。
Zegnaは当然自社の生地を使用していますが、BrioniやKitonはLoro Ppiana製の柔らかくて軽い、そして発色が豊かな生地を多く使用しています。
オーダーなどでは英国製の生地もあるとのことですが、既製品の生地はイタリア製がほとんどです。
つまり私はBrioni,Zegna,Kitonのスーツをパッと見のシルエットでイタリアらしさを感じることはほとんどないんです。
というか、わからない...
わかるのは、「ここのブランドの生地は柔らかくて艶がある...たぶんイタリア製だな」「ここのブランドはこういう演出か...」程度です。
それ以外の見た目で皆さんが何をもってそういった「らしさ」をとらえているのか全く理解ができませんでした。
そこで長年アパレル業界に身を置き、自身もサラリーマン時代に生地を扱っていた玄人の石田洋服店の店長さんに「イタリアらしさやイギリスらしさって何なんですか??」と疑問をぶつけると一言
「そんなものは無い」との回答...
私は「やっぱりね」と感じ腑に落ちました(笑)
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