この記事のポイント
スーツの襟(ラペル)って地味に重要
もくじ
襟(ラペル)の種類について
襟(ラペル)には大きく分けて2種類あります。
ノッチドラペルとピークドラペルです。
街中でよく目にするのはノッチドラペルです。
ノッチドラペルは普通の襟の形です。
対してピークドラペルはTVやパーティなど華やかな場面で目にする機会がありますが、あまり見ることはないと思います。
どっちが良いのかというとノッチドラペルが万能で使い勝手が良いです。
ピークドラペルはビジネスなどでは一般的ではないため着ることはオススメではありません。
仕事で着るのならノッチドラペルがベストな選択です。
ピークドラペルはフォーマルシーンかオシャレで着るべきという風習
なぜ仕事でピークドラペルは不向きなのか?
ピークドラペルがどういう理由から仕事には不向きなのかはわかりません。
なぜダメなのかを裏付ける資料を見たことがありませんが、一般的にピークドラペルのジャケットを仕事で着るのは避けられています。
個人的な見解としては、ピークドラペルはフォーマルウェアであるモーニングコート、イブニングコート(燕尾服)のラペルを彷彿とさせるからではないかと思います。
モーニングとは日本では内閣発足時に全員が着ている服です。イブニング(燕尾服)とはノーベル賞で着ることで有名です。
仕事もフォーマルいえばフォーマルですが、結婚式やパーティなど華やかなシーンではありません。
ピークドラペルはノッチドラペルと比べて主張が強く華やかな印象があることからビジネスでの着用は避けられたのではないかと思います。
ダブルもピークドラペルじゃないかと思いますが、あれのルーツは海軍の服で当時からピークドラペルだったので、ダブルが市民権を得たときもダブルといえばピークドラペルだとなったのではと思います。
出典:THE RAKE
モーニングコートは日本の内閣が組閣したときなど見たことは多いと思いますが、イブニングコートについてはお目にかかる機会はあまりないです。
社交ダンスの大会ではイブニングコートが必須なようです。
確かにイブニングコートですが、大会のためのユニフォームの意味合いが強いような気がしますが...
スーツとフォーマルウェアの違い
余談ですがスーツのルーツはラウンジジャケット、スモーキングジャケットとされています。
これらの服が生まれた当時のイギリス貴族たちが朝はモーニングコート、夜はイブニングコート(燕尾服)を着て過ごしていました。
特にフォーマルな場ではモーニング、イブニングは必須でした。
しかしこの服はめちゃくちゃ窮屈だったらしく着慣れていても辛かったそうです。
そこで男だけが寛げる場所であったラウンジでは窮屈な服を脱いでイブニングコートなどの簡略化されたジャケットに着替えてタバコを吸ったり、お酒を飲んだり他の男性と談笑をしていました。
この時に着ていた簡略化されジャケットがラウンジジャケット、スモーキングジャケットとされています。
その簡略化されたジャケットは次第にセミフォーマルの地位を築きタキシードとなります。そこから徐々に一般市民に広がり現在のスーツの形で市民権が与えられたとされています。※軍服がスーツの起源とする説もあります。
ですからフォーマルを少しずつ崩した先にスーツがあるので、普段着ているスーツが本来のフォーマルにはなり得ないんですね。
こういった歴史については以下の書籍で詳しく解説されていますので、ご興味のある方はぜひ読んでみて下さい。
襟(ラペル)はあなたの印象を左右する
襟(ラペル)の幅が与える印象
スーツを着るほぼすべての人のジャケットのラペルはノッチドラペルです。
とても細かい話になりますがこのラペルは広かったり狭かったりと幅によって印象が違います。
一般的に
・幅が狭い(ナローラペル)は8.0cm未満とされていますー知的、スマートな印象を与えるとされています。
・幅が広い(ワイドラペル)は9.0cm以上とされていますー男らしい、貫禄があるという印象を与えます
上記2点の中間である8.0cm~8.9cmくらいまでが可もなく不可もなくとされていて最も一般的なラペル幅とされています。
そんなラペルの幅がせいぜい1cmで印象が変わるは思えないという方は多いと思いますが、結構違いますよ。
以下の写真をご覧ください
ナローラペル
私のジャケットのラペル幅は8.5cmと中庸です。
ナローラペルのジャケットと中庸なラペル幅のジャケットを見比べても違いがよくわかると思います。
ナローはやっぱり短いなと…
好みや流行、ブランドのスタイルによって様々ですので、どちらが良いという訳ではありません。
ただし、ラペルの幅が狭ければシャツの襟の長さを短くし第一ボタンを留める前台襟の高さも低いものを選んだり、ネクタイの幅も短いものに変えたほうが統一感がありますのでナローラペルの写真のシャツとネクタイは少し調整したほうがきれいになると思います。
ココがポイント
ラペルの幅、シャツの前台襟の高さ、剣襟の長さ、ネクタイの細さなどは統一させる
下の写真は特に問題はないのかな?と思います。なんせ私が上記のバランスを考えて正解だと思うコーエィネイトをしていますので...異論はない...ですよね...?
私が着用しているスーツを仕立てた際のレビューを下記にてご紹介していますので、よろしければご参考下さい。
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襟(ラペル)幅には流行があります。
細身のスーツや太いソフトスーツが流行したように各ブランドが理想のスタイルを作り上げています。
2021年現在のスーツの流行は少しゆったりとしたスタイルになりつつありますのでラペル幅もワイドなものもみられるようになりました。
10年くらい前はとにかく細いスーツが流行しました。その時のラペル幅は細いもので5cmとかなり攻めたものも多くありましたが、その反動で最近ではラペル幅は9cmよりも広いものも見られるようになりました。
スタイリッシュからリラックスになっているような気がします。
コロナウィルスの影響からか世界的にも外出が難しい状況となっています。ファッションもこういった世情を反映し屋内でリラックスした装いがトレンドです。
カジュアルではビッグシルエットがまだまだ勢いがありますし、スーツなどでは、ジャケットを物理的に軽くするため肩パッドをなくして裏地をなくしたカーディガンのような着心地のモノも登場しスラックスはスウェットのようにリブで紐が付いているものも多くあります。
ラペル幅が広いと威厳があるように見えますが、同時にリラックスした見た目にもなります。
上の写真のようなスタイルが本当に多いです。
こちらの写真はトムフォードのコレクションでカジュアルであるため流行の最先端ですが、おそらくスーツについてもこういった雰囲気のスーツも増えていると思います。
トップブランドではこういった流れがありますが、まだ私たちが普段着るようなスーツスタイルには降りてきていません。
ある日突然ソフトスーツのような太いスタイルが流行するという極端なことはないと思いますがラペルは太くなりますので今後は細身のスーツなどはダサい、おっさんの着るスーツと揶揄される時代は近いと思います。
おわりに
今回はラペルについて考察してみました。
既製品ではラペル幅は決まっているのでお直しはできません。
スーツにも流行は存在し、肩幅や着丈、ラペルの幅やゴージの高さ、パンツのタックや全体のゆとり感、裾幅など多くの要素が絡んでいます。
一概にラペル幅だけ太くすればいいやというものではなく、バランスが存在します。
ゆったりとしたシルエットのジャケットにピチピチで尻の形が浮かび上がるほど細いスラックスを合わせるのは、どうでしょう?めっちゃダサいですよね...
極端な例ですが、スーツは頭の先から靴の先まで全体のバランスがとても重要なんです。
そのバランスを考えるのが嫌だと思うのであれば、ブランドの既製品が一番手っ取り早いですし、ラペル幅や着丈、服のサイズ感に拘りたいと思うのであればオーダーがオススメです。
ラペル幅たゴージの高さ、全体のゆとり感、着心地を追求したいという猛者は私がいつもお世話になっている石田洋服店のようにフルオーダーの仕立て屋さんに相談することをオススメします。
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