新作の服が店頭に並ぶシーズン初めや百貨店なんかに行くとワクワクしませんか?
実際に見て、触れてみると
「この服良いかも」
「着てみたい」
でも
「試着したら買わないといけないよな...」
そんな風に考えたことは皆さんあるのではないでしょうか?
「買わないと思うけど気になる。着たイメージだけでも確認したい」
そのようなことも当然あるでしょう。
でも気軽に試着ができないのは
「買わなければ悪い気がする」
このように感じるからではないでしょうか?
じゃあ試着したら購入するべきかと聞かれたらそんなことはありません。
もちろん購入したらお店は喜んでくれますし、試着した末に購入に至らなかったら店側も辛いでしょうね。
ただお金を払うのは購入する皆さんなのですから、欲しくなければ購入しない選択肢は当然あります。
店側も試着をしている客はワンチャン購入してくれる可能性があるので売り込みます。
購入を前提に試着をしている場合はそのままスムーズにお会計に行きますし、ついでにもう一つアイテムを衝動買いしてくれることもあります。
そういう意味ではお客様が試着をするというのはお店側からすると勝負どころです。
しかし購入をしないと決めている場合やちょっと気になった程度のお客様にクロージングをかけてしまうと逆効果です。そういったお客様は次来店することはほとんどありません。
なぜなら購入しないとわかった時に店員と客の間でなんとも嫌な雰囲気になってしまい、その嫌な記憶だけが残ってしまい、嫌な気分になったお店と思われてしまうからです。
ただこの試着という行為はとても大事です。
ハンガーにかかっている状態でカッコイイと思っても試着したらイメージと違ったり、かなりタイトに出来ていたりオーバーサイズにできていたりすることがあります。
各ブランドともに考え抜いて服を作成しているので、それぞれに個性があります。
ですから試着をしてみたらイメージと違ったり、イメージをはるかに超えて最高だったとか結構あります。
それを確認するには試着する以外にありません。
ということで今回ご紹介する内容を読めば試着が嫌という気持ちは減るでしょう。
また店員への軽いアドバイスを心理学的なアドバイスをしているのでご参考ください。
もくじ
試着だけで買わないと気まずい...
試着していると滞在時間も長くなり、店員も購入してくれるという期待値は高くなっている事が多いです。
しかし買う買わないの権利は客であるあなたにあります。
常連でもない限りは一見様も多いので、ウチのブランドを知ってもらうチャンスと捉えている場合が多いです。
ですから店側からすると買ってくれるのがベストですが、知ってもらって見込み客になってもらうことを望んでいる場合が多いので試着だけで買わないというのは全然問題ありません。
むしろそこで購入しないからといってテキトーな接客をしてしまうと見込み客から絶対に購入しない客に変化してしまい、大損害をだしてしまうのでお店は試着をして購入しないからといってテキトーな接客をすることは基本的にありません。
私自身もアパレルで働いている時には、来店される方の多くに生地を触ってもらい、サンプル品ですが仕立服を着てもらうなどしていました。
既製品なら出来上がりを購入しますので、試着は簡単ですが、フルオーダーの場合には個人の体形に合わせて作成しますので、イメージが超難しいのです。
ましてや生地だけを見て触って「この生地で仕立てます。はい30万円」と払える人など常連様でなければそういません...
ですから、お店にはサンプル品をおくことで、仕立てた時のイメージのヒントにしていました。
とにかく試着してもらって、仕立服に興味をもってもらう。仕上がりイメージを感じてもらうことからスタートしていました。
試着をすると店員がつくのは仕方ない
店員からすると試着をするということは購入への期待値が高くなるのは仕方ありません。
ただ...
店員の接客が嫌いという方は非常に多いようです。
私はブランドごとに展開しているスーツやジャケット、パンツや革靴などすべて見たいし着たいと思っていますので、お店に入って接客を受けることに何も抵抗がありません。
なんだったらこちらのペースに巻き込んでしまいます。
たまにいるんですが、こちらの気持ちを無視して自分の考えをまくし立てて自らのペースにして買わせようとする店員が....
こういった店員にからまれた経験があると辛いですね。
試着をすると買わされるような気がして、接客をしてこないユニクロや無印に流れてしまうのは当然でしょうね...
とはいえ態度が悪いと感じる店員は基本的に売り上げも良くないことが多いのかすぐに居なくなることが多いです。
話が少し脱線しますが私もひどい店員からの接客経験がありますが、もはや犯罪レベルのものでした。
私が19歳の時に大阪難波のアメリカ村のあるお店に入った時の話です。
そこで担当した店員は見た目はギャル男でしたが気さくで優しくあれこれ試着させてくれたのです。
しかし好みのアイテムがないのでお店を出ようとするとギャル男店員は「俺らも遊びで商売やってんのとちゃうぞ!! ここまで世話してやって買わんとかクズやな!!」と態度を豹変させて恫喝してきたのです。
私はそれまで気さくで優しいギャル男店員が突然ウシジマくんのような表情になったことにビビり1万5千円の買い物をさせられました。
その後しばらくすると気持ちが落ち着いてきて逆に激しい怒りがこみ上げてきた私は返金させるべく警察に被害届を提出。
その時対応してくれたアメリカ村の警察の方はとても頼りがいのある方で、一緒にお店まで行って返金要求をしてくれて無事、必要がない買わされた服を返品し支払代金の返金をしてもらいました。
お店は、何一つ抵抗せずに警察の顔を見るなり返金に応じたので「こいつらは他の人でも同じ事やってるな...」と実感しました。
そして後日考えると、普通は被害届を受理したり、手続きが法に則って行われるはずですが、警察官個人の実力行使して解決している当たり、あの警察官も慣れてたのでは...?そのうえで違法なお店を放置か?と勘ぐってしまいます...
まあとりあえずダサい服の返品と支払代金の返金が行われたので精神的なダメージ意外には金銭面はダメージが無かったので良しとしました。
この経験から私は店員の接客が怖くなったのと同時に、ここまで酷い接客を他では受けたことがないので接客を受けることが何一つ怖くなくなりました。仮に上記と同じような状況になれば即警察を呼ぶか電波が届かないのであれば音声録音をして抵抗し無理やり買わされたという証拠をもとに警察や消費者センターに相談するからです。
ただ上記のように購入後に警察に同行してもらって返品返金できたのはかなりレアな事例です。
というのも本来は被害届を出したとしても店側が恫喝して買わせたことや退去妨害をしたという客観的な証拠が必要だからです。
かなり脱線しましたが、購入側である我々消費者は法律上かなり守られているので、接客を恐れたりする必要はないと思います。
法律の知識はすぐに役立つものではありませんが、何かしらのトラブルにあったときに、法的な知識は必ず精神的な支えになってくれます。
そうは言っても接客を受けるのはしんどいですよね...
ましてや試着をさせて欲しいと伝えると店員は完全にロックオンしてきます。
しかしこれは商売をしている店員からすれば当然ですので仕方がないと思います。
なので試着はするが買うかはわからない。もしくは買わないということを伝えることが大切です。
入店の際に心掛けて欲しいポイント
入店から退店まで最高の客でいることが大切です。
そのためには店員が「金払いが良い客以外でどういった客に接客をしたいと思うのか」を想像してみましょう。
私自身も高級老舗オーダースーツのお店で働いた経験から「どういった人の接客がしたいか」を考えると以下の特徴を持つ人の接客をしたいです。
- 身だしなみの整った清潔感のある人
- 目的はハッキリしているが本気で迷っている人
- 丁寧で物腰が柔らかな上品な人
こういった人の接客をしたいと考えていました。
①まず身だしなみを整える。
当然のことですが試着をするためにはお店に行きますよね。
その時にTシャツにデニム、スニーカーという休日のおじさん着のような格好で行くと店員は一目見て冷やかしに思われる可能性があります。
店員さんもブランドを背負っているプライドがありますから、試着といっても身だしなみを整えましょう。
スーツの試着であればワイシャツなどの襟付きのシャツをを着るくらいは最低限のマナーです。
やはり店員さんも人間ですから真剣に選んでいる人を助けたいと思うはずです。
ワイシャツの襟や袖口は肌に直接触れる部位なので汚れることが当然ですが、スーツのジャケットの袖口や襟はワイシャツなどの上から羽織ることを前提に作られています。
ジャケットの襟や袖口に肌が直接触れ続け汚れが蓄積されて酸化して黄色くなった場合、その黄色い汚れをキレイに落としきることは難しくシミになることが多いです。
シャツならまだしもジャケットを家で選択するのはとても難しいので避けてください。水によって生地が変形したり型崩れを起こしてしまいきれなくなる可能性があります。
ジャケットの汚れを落とすのはクリーニングなどの洗のプロにお任せするのが最も賢い選択だと私は考えます。
しかしジャケットのクリーニング代はかなり高額となります。(もちろん着用するブランドやクリーニング店により値段はバラバラですが総じて高額となります。)
②来た目的をハッキリ言う。
店内をただブラっとしているだけだとお店の人も「目的は何かな?」と探りを入れます。当然ですよね...?
誰だか知らない人がフラッと着て服を見てるんですから...
そんなときに近づいてくる店員に対して
「スーツを新調しようか考えていますので、見てもよろしいですか?」
「気になる服を試着してもよろしいですか?」
と目的を伝えることでお互いに目標が定まり良好な関係が作れます。
そうでなければ店員はあなたがどういった目的で来店されたのかを掴めずにあれこれと勧めてしまいます。
そうするとあなたは「ゆっくり見させてくれよ...」となったり「この店員しんどい」となってしまいます。
せっかく気になるアイテムが見つかるかもしれないのに嫌な想いをしてしまっては台無しです。
しっかりと入店した目的を言って良好な関係を築いてください。
③買わない場合
試着をしても購入に至らないことは多々あります。
しかしせっかく試着をさせてもらって断るのは気まずいな...と考えたことありませんか?
しかしここではハッキリ購入しない旨を伝えます。
店員はエスパーやメンタリストではないのであなたが購入したいのかわかりません。
ですので試着をして決断に至らない客に対しては下記のようなことを考えています。
- 他に考えてるアイテムがあるのか?
- 気に入らんかったんかな?どこがダメなんだろか?
- いらないならそう言って...
上記のように何に迷っているのかわかりません。
そう考えると、あなたがどうしたいのかをハッキリと伝えたほうがコミュニケーションがとれてお互いにスッキリしませんか?
「着てみてイメージと違いました...」
「もう少し考えます。」
ハッキリと意思表示をすることで店員も諦めが付きます。
断りにくいという方は枕詞に「この商品は良いんだけど」とつけることでより断りやすくなります。
「とても良いのですが少し検討させてください。」
「他のお店のスーツも考えているので今回は保留をさせてください。」
これらの一言で大体は問題ないでしょう。
ポイントは枕詞に「この商品良いんだけど」といった後で「今回は買いません」という意思表示です。
それができれば言い方はなんでも良いと思います。
そして帰り際に「相談に乗ってくださってありがとうございました」と堂々と伝えて去りましょう。
ココがポイント
あなたが思う最高の客を演じることでお互いに気持ちいい関係を保ちましょう。
お店を出ることを妨げたり恫喝して押し売ろうとする店員の場合
こんなことがあればもはや事故ですが...
あるんですね笑
即110に通報しましょう。
一度購入してしまった場合は恫喝されたことや退店妨害されたことを証明することが難しく店舗側が逃げ切ることがよくあります。
とにかく重要なのは、あなたに買う意思がないのに無理やり買わされたということを誰が見ても明らかな客観的に証明するです。
後日、消費者センターに問い合わせをしても返品返金がしてもらえないというケースも少なくありません。
私が返品返金できたのはお店側に法的な知識がなくレアな事例です。
もし勇気があるのであれば恫喝や退去妨妨害をされた時の音声録音をすることも有効手段でしょうが、おそらく恫喝や退去妨害されるという状況でそこまで冷静になれる人であればそもそも恫喝や退去妨害に遭わない気もします...
ですから、とにかくトラブルが発生したら警察を呼ぶようにしましょう。
警察を呼んだと言えば相手はひるんで帰っていいというと思います。
店員の皆さんへ
試着だけの客を見込み客に変えるには
試着をするお客様はすべて見込み客になると思いますか?
見込み客になるかは接客態度にかかっています。
具体的には試着の経験と最後にお客様がお店を出るときに幸せな状態にあることが超重要です。
試着をしている時の大体のお客様はとても楽しい経験をしています。
新しい服を着れた喜びと、新しい自分の発見、その服を着て出かけた時を想像してみたりと、頭の中ではアドレナリンがドバドバ出ています。
しかし、何かが気になって買わないとなった時に「買いません」となると申し訳なさそうな気になり、店員のみなさんもガッカリしていることだと思います。
そしてお客様は「買わずにごめんなさい」といった気持ちでお店を出ます。
店員の皆さんも残念とばかりに「ありがとうございました...」と見送ることになります。
こういった見送り方だとそのお客様は次来ませんよ。
なぜなら「お店に迷惑をかけた」という記憶が残るからです。
行動経済学者のダニエル・カーネマンによると
「人間の記憶とは、ある行為が最高であろうが最悪であろうがもっとも感情が高まった瞬間と最後の瞬間だけで決める」とされています。
つまり
最高の経験+最低の終わり方=悪い記憶
最高の経験+最高の終わり方=最高の記憶
となります。
これを
ピークエンドの法則
といいます。
別名「終わりよければすべて良し」です。
感情が最も高まる瞬間とは「試着している時」ですね。
終わりの瞬間とは「お店から出るときの瞬間の感情です」。
このお店を出るときにいかにハッピーであるかがとても大事なんですよ。
お店から出るときに「なんか気まずいな...」だと記憶の残り方はかなり悪いです。
「良い商品があるけど、店員が...」となってしまいます。
そうじゃない!!
あるべき状態とは「試着楽しかった!!お店に行って超楽しかった!!」「あの店員さんにまた会いたい」と記憶されることですよね?
ではその印象はどこで決まるのか?
試着という最高に楽しい経験をさせて、何も買わなかったとしても、お店から出る瞬間に楽しかったと思ってもらうことに掛かっています。
「あなたとお話しできてとても楽しかった」などポジティブな態度でお見送りしてあげてください。
皆人間ですからお客様のへの対応の仕方は十人十色で違うと思います。
しかし、選ばれる店員は皆さんお客様がお店から出る瞬間に「最高のおもてなし」をすることを心掛けています。
何も買わなくても「あの店員さんに会いたい」と思わせることが出来れば、そのお客様ま見込み客となり再び来店される可能性は高くなります。
お店にいる間に感情が高まってもお店から出る瞬間の感情によって天と地ほどの差となります。
結果が出るまでは時間がかかる接客方法ですが、長期的にもこの「終わりよければすべて良し」はかなり高い効果が期待できます。
もちろん日々の売り上げはとても大切ですから、試着をされても売り上げにつながらなかった場合は多少へこみます...私も辛かったです...
ただ見込み客の創造もとても増やすことも大切な仕事ですから見に来ただけのお客様だとうが試着して購入しなかったお客様だろうが、気持ちよくお店にいてもらって、帰る瞬間には「楽しかった。また来たい」と思わせれるような工夫をしてみてください。
抽象的な話で言うだけなら簡単です。実施をするのはとても難しいことだと思いますが、私がこれまでお会いしたトップセールスをたたき出す店員さんは皆さん帰り際に「楽しかった。また来たい」と思わせてくれます。
ご覧いただきありがとうございました。
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